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元ディレクターが解説!映画『エルヴィス』を彩る名曲をエルヴィス本人の歌唱で聴く(全6曲)


大好評公開中の映画『エルヴィス』

アメリカ史上最大のポップアイコン=エルヴィス・プレスリーの生涯を題材に、 “ロック誕生”の瞬間の喧騒を『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督が豪華絢爛に蘇らせました。

エルヴィス・プレスリー役のオースティン・バトラーと、パーカー大佐役のトム・ハンクス


全米で興収1位を獲得
し、カンヌ国際映画祭で今年最長のスタンディングオベーション(12分間!)を得た『エルヴィス』は、主演のオースティン・バトラーの熱演も大きな話題に。ロック好きだけでなくあらゆる音楽ファンの胸を打ったはずです。今年最大の音楽大作と言っても過言ではないでしょう。

未見の方もまだ間に合いますので(*)、ぜひ劇場で体感してください!
*2022年8月現在

映画公式サイト▼


半世紀以上の時を経てもなお人々の胸に迫る名曲の数々を送り出し、 “史上もっとも売れたソロ・アーティスト”の記録を持つ元祖スーパースター

そんなエルヴィス・プレスリーですが…

実は映画を観るまで曲をほとんど知らなかったという方も少なくないのではないでしょうか?

今回の映画でエルヴィスが好きになったけどどの曲から聴けばいいかわからない、劇中で流れた曲のタイトルがわからないといった方もいるかもしれません。

そこで今回の記事では、劇中で印象的に使用された楽曲のなかから、
必聴の6曲を厳選してエルヴィス本人の歌唱ヴァージョンでご紹介!

小学生からエルヴィスを聴き始めたという筋金入りのマニアにして、エルヴィス・プレスリーの元ディレクターでもあるソニーミュージックの松山卓哉氏が解説します💬 
写真もたっぷりでお届け!

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※以下、映画のストーリーに言及する箇所がございますのでご注意ください!

アイコニックな金色の衣装をまとったエルヴィス。
『ELVIS’ GOLD RECORDS - Volume 2』のジャケ写にも使用された。


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必聴曲1.「ザッツ・オールライト (That’s Alright)」(1954)

1950年代半ば頃のエルヴィス・プレスリー

メンフィスのローカル・レーベル「サン・レコード」から発売された、エルヴィスの記念すべきデビュー曲。映画の中では作曲者の黒人ブルースメン アーサー・クルーダップの歌うシーン、エルヴィスのレコーディング・シーンなどで印象的に使用された。ここでプロデューサーのサム・フィリップスから「クルーダップを知っているのか」と驚かれる演出は実話である。人種差別がまだ色濃く残るアメリカ南部で白人青年が黒人の曲を歌うこと自体が大事件だった。それがロック誕生の瞬間であり、今に続くポピュラー・ミュージックの道筋をも作ることになったのだ。

映画では70年にステージに本格的にカムバックしオープニングで歌われるシーンも登場。ここでは最近制作されたオフィシャルMVと、1972年のニューヨーク・マジソンスクエア・ガーデンでのライヴをご覧ください。

Elvis Presley - That's All Right (Official Music Video)


That's All Right (Prince From Another Planet, Live at Madison Square Garden, 1972)



必聴曲2.「ベイビー・レッツ・プレイ・ハウス (Baby, Let's Play House)」(1955)

劇中で「Baby, Let's Play House」を披露するシーンは、映画のメイン・ヴィジュアルにもなった。


映画の序盤、ルイジアナ・ヘイライドのステージで歌うピンク・スーツを身に纏ったエルヴィスが客席を狂乱の渦へと巻きこむ名シーン。そこで歌唱した楽曲「ベイビー・レッツ・プレイ・ハウス」は、黒人ブルースメンのアーサー・ガンターがオリジナル。エルヴィス版はサン・レコードで4枚目のシングルとしてリリース。このブルースもまた、エルヴィスが歌ったことによりロカビリーの代表曲となった。

映画では主演のオースティン・バトラーの見事なパフォーマンスで当時のライヴ・シーンを再現している。実際は初期のロカビリーではドラマーがおらず、ベースのスラッピングによってリズムを刻んでいた。つまりエルヴィスは本人を含む3人だけの小編成であの独特のグルーヴを生み出したのだ。そんなオリジナル音源をお聴きください。


Elvis Presley - Baby, Let's Play House (Official Audio)



必聴曲3.「トラブル (Trouble)」(1958)

1950年代後半のエルヴィス・プレスリー

映画の中では、ブラック・ミュージックを敬愛するエルヴィスの存在自体が当時のアメリカの人種隔離法(今では信じられない法律)に違反するという理由から目を付けられるなか、「本当の俺を見せてやる」と言って歌った曲。「喧嘩がしたいなら、俺が受けて立つぜ」という歌詞もシーンに見事はまっている。細かい事実は別として、素晴らしいバズ・ラーマン監督の演出だった。

この曲は「ハウンド・ドッグ」等と同様、ジェリー・リーバー&マイク・ストラーという数々のヒットR&Bを送り出した作家による作品で、1958年のエルヴィス主演映画闇に響く声(当初はあのジェームス・ディーンの主演が予定されていたが、突然の事故死によってお蔵入りとなっていた)の挿入歌となった。伝説のTV番組、通称『68カムバック・スペシャル』の中ではオープニング・シーンで「ギター・マン」とメドレーにして歌唱。ここではそのヴァージョンを映像とともにご覧ください。  

Elvis Presley - Trouble/Guitar Man (Opening) ('68 Comeback Special)


必聴曲4.「好きにならずにいられない (Can’t Help Falling In Love)」(1961)


映画では徴兵中ドイツに派遣されていたエルヴィスがプリシラと恋におちるシーンでケイシー・マスグレイブスによるカバー・ヴァージョンが印象的に流れる。

「愛の夢」というクラシック楽曲がベースになっているこの曲は、エルヴィス主演の映画『ブルー・ハワイ』の挿入歌。シングルが大ヒットし、晩年のライヴ・ステージでもエンディング・ナンバーとして歌い続けた。エルヴィスを代表するバラードとしてあまりにも有名な曲。そのオリジナル版をお聞きください。

Elvis Presley - Can't Help Falling In Love (Official Audio)



必聴曲5.「ア・リトル・レス・カンヴァセイション (A Little Less Conversation)」(1968)

1960年代後半、『68カムバック・スペシャル』出演時のエルヴィス


映画『エルヴィス』の中では、1960年代に活動が映画中心となった時期は短時間で駆け抜けるように描写されていたが、そのシーンでこの曲のオリジナル・ヴァージョン(映画『バギー万才』挿入歌)が使用された。当初はシングル(B面)としてリリースされたが、ヒット曲とは言えない売り上げだった。

しかし時を経て2002年、ジャンキーXLによるリミックス・ヴァージョンが世界的に大ヒット。以降数々のCMや挿入歌に使用され、今ではエルヴィスの代表曲のひとつとなった。元々はあまり注目されていない曲だっただけに、この現象にはファンの多くも驚いた。この曲をきっかけに、シルク・ド・ソレイユのミュージカルやロイヤル・フィル・ハーモニーとのコラボ企画が立ち上がるなど、エルヴィスの音源のリミックスが数多リリースされるようになり、技術の進歩とともに進化を遂げてきた。その流れは今回の映画『エルヴィス』においても継承され、劇中を彩る数々の素晴らしいリミックスへと昇華されたと言えるだろう。

いつも思うことだが、どんなに音源が調理されようともエルヴィスのヴォーカルはうずもれることなく存在感を増すばかりなのだ。
そんなきっかけを生んだJXLリミックス・ヴァージョンを2002年のMVとともにお聴きください。


Junkie XL, Elvis Presley - A Little Less Conversation (Official JXL Remix)



必聴曲6.「アンチェインド・メロディ (Unchained Melody)」

「アンチェインド・メロディ」日本盤シングル


映画の終盤、クライマックスで演じられるラスト・ツアー(エルヴィスが亡くなるたった6週間前)で歌唱した「アンチェインド・メロディ」。
オリジナルは55年の映画『アンチェインド』の主題歌で、ライチャス・ブラザース版がヒットしたことで有名。またエルヴィスの敬愛する黒人シンガー、ロイ・ハミルトンのヒット曲でもある。

エルヴィスがピアノの弾き語りで歌う「アンチェインド・メロディ」の歌唱は、ゴスペルの女王マヘリア・ジャクソンのバラード・スタイルに近いものがある。ゴスペルの魂がこの歌唱ににじみ出ている。最後までエルヴィスのルーツはブレていなかった証であるとも言えよう。映画で使用されたヴァージョンはエルヴィスの没後にシングルとしてもリリースされた。

オースティン・バトラーはこのシーンも見事に演じているが、最後に本物のエルヴィスに映像が切り替わるところには度肝を抜かれた人も多いだろう。歌に一生を捧げたエルヴィスの最期の歌声は、今なお聞く人々の心を揺さぶる。

Elvis Presley - Unchained Melody (Official Lyric Video)


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おわりに:

映画『エルヴィス』は4時間の長編になってしまったものを編集で2時間39分に収めたとのこと。エルヴィスというひとりの人間は42歳という若さでこの世を去りましたが、彼のレガシーを語るには何十年あっても足りないし、死後新たな歴史さえ作り出しています。この映画をきっかけにさらにエルヴィスに興味をいだいてくれた人々が多いと思います。エルヴィスの残してくれた音源、作品は数多くありますので、今後是非ともいろんなエルヴィスに接してみてください。きっと新たな発見や感動があると思います。

松山卓哉

ハワイのホノルルから史上初の全世界同時生中継が行われた『アロハ・フロム・ハワイ』でのエルヴィス。

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